13日の日本市場では債券が下落。米国の金利上昇や日本銀行の早期利上げへの警戒感から売りが強まり、長期金利は一時およそ15年ぶりの高水準を付けた。円は上昇。株式は大幅に続伸した。
米国で12日発表された1月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなり、金利スワップ市場では次回の利下げを完全に織り込む時期が発表前の9月から12月に後退した。同日の米10年国債利回りが大幅上昇し、日本国債の売り圧力になった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、日銀利上げ継続やターミナルレート(政策金利の最高到達点)の織り込みで軟調な地合いが続く中、米CPIの上振れを受けて債券相場は大きく下げたと指摘した。
一方、国債買い入れオペ結果を受けて午後は下げ幅を縮めた。藤原氏は、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)2年先1年物などフォワードレートの上昇が1%超の水準で一服していることも挙げ、「新たな売り材料が出ない限り、落ち着いてくるのではないか」と述べた。
債券相場は下落した。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、日銀利上げ観測と米金利上昇が重なったことで買いが入りづらく、相場は弱い方向に振れやすくなっていると指摘。投資家が「あすの5年債入札で慎重になる可能性も懸念され始めている」と話した。
現物債市場では、新発2年債利回りが一時0.805%、新発5年債利回りが一時1.02%と、ともに08年10月以来の高水準を更新。新発20年債利回りは一時2.02%と11年5月以来の高水準を付けた。
日銀が実施した定例の国債買い入れオペは相場の支えになった。対象は残存期間1年超3年以下、5年超10年以下、10年超25年以下、25年超で、買い入れ額はいずれも前回から据え置いた。オペ結果では、残存1-3年を除く3ゾーンの応札倍率が低下。売り圧力の弱まりを示したことで、午後の下げ幅縮小につながった。
関連記事:日銀:国債買い入れオペ一覧 (表)
新発国債利回り(午後3時時点)
東京株式相場は続伸。米国とロシアの協議開始がウクライナ戦争終結につながるとの期待から投資家心理が改善した。為替相場が前日の日本株終了時点と比べて円安水準で推移したことも、電機など輸出関連の支えになった。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、地政学リスクが後退しつつあるとの見方から投資家心理が好転し、日本株の上昇を後押ししたと指摘。原油価格が下落したことも、海外からのエネルギー輸入に依存している日本の株式にとってプラスだと指摘した。
関連記事:ウクライナ停戦交渉開始、米ロ首脳が合意-米政策は大きな転換点に
個別銘柄では通期の純利益予想を引き上げた楽天銀行が上場来高値を更新した。みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、これまでに発表された決算を受けてTOPIXの1株利益(EPS)見通しが上がっているようだとし、これが相場全体を下支えしているとの見方を示した。
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=153円台後半に上昇。前日までの急速な円安を受けて円を買い戻す動きが出た。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、米CPIは強い数字だったがドル高・円安には行き過ぎ感もあり、円を買い戻す動きが出たのではないかと指摘する。
一方、トランプ米政権の関税政策に対する懸念や米利下げ観測の後退が円の重しとなり、日中は154円台でもみ合う場面が目立った。上田氏はトランプ政権が関税を実施することは避けられない状況で、インフレが意識される以上、「ドルは下がりにくい」と述べた。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、トランプ関税がそれほど厳しいものにはならないとの楽観的な見方からドル売りに傾いていたが、鉄鋼・アルミ関税や相互関税などが矢継ぎ早に打ち出され、ドル高材料として意識されていると指摘。ドル・円は200日移動平均線の回復や一目均衡表など、テクニカル分析の観点からもドル高・円安が進みやすいと警戒する。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
[元記事はこちら]: https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-13/SR93VLDWLU6800